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【零売薬局とは】調剤薬局とドラッグストアの良いとこ取り?薬剤師の新しい働き方

2019年10月23日

先日こんなツイートをしました。

僕自身は現在ドラッグストア薬剤師をしていますが、調剤薬剤師も経験しています。

両方経験してみた結果、「零売薬局」は薬剤師の新しい職能発揮場所として今後間違いなく伸びるなと思ったので、個人的にかなり注目している分野です。

今回はこのツイートを深掘りしていきます。

♦︎零売薬局とは

簡単にいうと、処方箋がなくても病院や調剤薬局の薬が買える薬局です。

医療用医薬品約1万5千種類のうち、50%くらいは処方箋がなくても買える薬(非処方箋医薬品)なので、それらを取り扱っているのが零売薬局ってことですね。

これを知らない薬剤師や医療関係者はまだまだ結構な数います

取り扱える薬の種類としては、痛み止め(内服、外用)、ビタミン剤、感冒薬、抗アレルギー薬、点眼薬、塗り薬(ステロイド、保湿剤など)、胃腸系薬等かなり多岐に渡ります。漢方薬なんかはほとんどが零売可能です。

逆に零売不可能なのは降圧薬、糖尿病系薬、向精神薬、睡眠薬、抗がん薬、抗生物質など。

ここら辺はたとえ零売可能だったとしてもリスクがかなりあるので、売りたい薬剤師は多分いないと思いますが。

処方箋がなくても薬剤師がしっかりカウンセリングを行って薬を販売するのが零売薬局ってことですね。

より詳しいことは零売薬局界を牽引されている方のお一人、「オオギ薬局」さんのホームページを見るとすぐに理解できますよ。(twitterはこちら→@ogiyakkyoku

♦︎調剤薬局とドラッグストアの良いとこ取り?

零売薬局は、調剤薬局とドラッグストアの良いとこ取りだと僕は考えています。

調剤の良いとこ取り

調剤薬局の主な役割って「投薬」ですよね。

処方箋に基づいた薬を正しく服用できるように、また正しく治療できているか、副作用は出ていないかなどを確認しながら薬を渡すのが僕ら薬剤師の役割です。

より身近な医療人として投薬中に患者さんの相談に乗ったりなんかもしますよね。

そういった調剤薬剤師にやりがいを感じる一方で、どうしても不甲斐なさを感じる場面ってありますよね。

その原因は調剤が処方箋に基づいているという点。

医師と薬剤師にパワーバランスの差があるのは紛れもない事実なので、そこにストレスや不甲斐なさを感じる薬剤師は一定数いますね。

「疑義照会や処方提案などをしっかり行って医師とも対等な関係を築いていくべきだ!」って声もあります。

もちろんそれらは必要なことであり、医師からも信頼されて対等な関係を築いている薬剤師も事実います。

零売薬局であれば病院と完全に切り離されているので、処方箋に基づかない「投薬」になりますね。

もちろんそれだけの責任は伴いますが、薬剤師自身が知見に基づいて薬を選んで主体的に「投薬」が行えるのが零売薬局の素晴らしいところだと思います。

ドラッグストアの良いとこ取り

ドラッグストアでの薬剤師の役割って言ったら主に医薬品の「カウンセリング販売」ですね。

僕は最初一日中カウンセリング販売をやるのかと思っていたのですが、現実はもちろん違いました(笑)

OTCには薬剤師しか販売できないもの(要指導、第1類医薬品)があるので、それらのカウンセリング販売は実際多いです。

他にも健康食品やサプリメントの相談を受けることも多々。

ただそれに付随してレジ業務だったり、品出しだったり、僕の場合だと店舗運営に関わることなんかも割とやっているので、「これって薬剤師じゃなくても良くね?」的な仕事が結構あります。

ドラッグストアだとカウンセリングして、症状に合ったOTCを探すので、薬剤師が主体となって薬の提案ができます。

これがドラッグストア薬剤師のやりがいであり良いところですね。

ただ、OTCだと単味剤が少ないので「この人にはこの成分いらないんだけどなー」ってことも多いです。

零売薬局は薬剤師が主体となり、しっかりカウンセリング行って、その人に合った薬を成分単位・成分量で考えて提供する。

まさに調剤薬局とドラッグストアの両方のやりがいを感じられる環境ですね。

♦︎今後伸びていく理由

零売薬局が今後伸びていくと理由は3つあります。

❶世間のニーズ

❷働き手のニーズ

❸国の財政への貢献

世間のニーズ

これは単純に「便利になるから」です。

病院に行く暇がないって人は多いですし、診察代などのことも考えると零売薬局で薬を買ったほうがトータルコストが安くなるケースも多いです。

金額が同等あるいは安くなる場合はもちろんですが(むしろ現状そっちの方が多い)、多少金額が上がっても病院に行く時間がかからないなら零売薬局で薬買いますよね。

大事さでいうと「お金<時間」なので僕は零売薬局で買います。

あと医療費削減のために花粉症の薬が保険適応外になるって話がありますが、市販薬ですでに同じ成分のものがある場合は今後保険適応外になる流れがくるので、そういった薬は零売薬局で買うのがメジャーになってきますね。

働き手のニーズ

これは上記の「調剤薬局とドラッグストアの良いとこ取り?」と内容が重複しますが、調剤薬局やドラッグストアに100%のやりがいと使命感を見出せていない薬剤師がどんどん参入していくと思われます。

世間のニーズが高まれば当然働き手のニーズも高まりますからね。

零売薬局で働きたい!って考える薬剤師もどんどん出てくるでしょう。

零売薬局がもっとメジャーになってくれば、新卒薬剤師の就職先の候補にもなっていくかと。

これはもう少し先の話ですが、今後は色んな国家資格者が零売薬局で働くようになっていくと思います

例えば看護師や管理栄養士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師など。

看護師はより臨床に近い知見を持っていますし、管理栄養士は食事療法などのアドバイスができますよね。

柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師であれば実際に施術を行って治療やケガ予防、身体活動に関するアドバイスなどができます。

薬剤師が色んな国家資格者を牽引した存在になっていくのも面白いですよね。

零売薬局がベースとなって、そこへ色んな国家資格者が参入してチーム医療として機能していくような、病院とはまた別の新たな組織体系ができていくと思います。(病院とは別ってよりは病院に行く前段階で病気の進行を止めるような予防チーム医療みたいな感じ)

調剤は敷地内や院内に戻って処方箋医薬品を中心とした処方の取り扱いへ、非処方箋医薬品は零売薬局が主体となって提供していく。

それが真の意味での「医薬分業」なんじゃないかなーって僕は思います。

国の財政への貢献

これは医療費削減ってことですね。

零売薬局は保険適応ではないので、病院に行って薬もらっていた人が零売薬局へシフトすればするほどダイレクトに医療費の削減になります。

OTCのセルフメディケーション税制とかよりは医療費削減へかなり効果ありますよね。

零売薬局は、OTCと違って薬剤師がガチで介入しているので、セルフメディケーションとは少し意味合いが異なりますが、それでも世間へのセルフメディケーションの意識付けとしてはかなり効果があると思っています。

国も本格的に零売薬局を後押ししていく時代が来るでしょうね。

考えてみると薬剤師が介入できる分野ってまだまだたくさんあるし、薬剤師の働き方含め改めて色んな使い方のできる免許だなーって思いますね。

零売薬局は、確実に今後の医療のあり方を変えていくと思っています。(僕が零売薬剤師になる予定は今のとこありませんが)

零売薬局の今後に注目しつつ、薬剤師業界を盛り上げていきましょう!

以上、零売薬局への一薬剤師の見解でした。