【ドラッグストア業界の行方】リアル店舗のコモデティ化【薬剤師はマインドを変えるしかない】
ドラッグストア業界に身を置く僕ですが、この業界へ足を踏み入れる薬剤師はおそらく、
「処方箋によらず、薬剤師としてセルフメディケーションに貢献したい!」
という想いを持った人が多いと思うんですよね。
ただ最近の業界の動向を見ていると「そもそもドラッグストアって何だっけ?」という違和感が少しずつ生まれてきたので、
【今後の業界の行方】と【薬剤師の職能を生かしつつドラッグストア的な働き方をしていくにはどうすべきか】について解説していきます。
ドラッグストア業界の現状と行方
現在、年々厳しさを増す調剤業界を尻目に業績の伸びが凄まじいドラッグストア業界ですが、主に大きく分けて2つの流れがあります。
1つは取り扱い品目に占める食品の比率を高め、価格を下げて食品で大きく集客する流れ。
もう1つは化粧品に力を入れ、女性の集客を増やして単価を上げる流れ。
ただし、後者のドラッグストア企業であっても郊外店舗は食品の比率が高い場合なども結構多いです。
ドラッグストア自体が食品や化粧品を置くのはしょうがないことだと思うんですよ。
化粧品はスキンケアの観点からセルフメディケーションの1つとも言えるし、「病は気から」って言うように、化粧をする楽しさで気分が上がって救われる人もいるはず。
健康食品は病気を未然に防いだり、健康状態へ近づける働きもあるので、未病の観点からセルフメディケーションの1つと言える。
こう考えるとドラッグストアに化粧品や健康食品を置くのは理に適ってるんですよね。
ただ最近の業界としての動きは、「食と美と健康」という名の何でも屋さんになりつつあるなと思います。
競合といえば、スーパーやディスカウントストア、雑貨屋やホームセンター。
そしてこれらの小売業界も登録販売者を雇って医薬品、化粧品、健康食品などの取り扱いもどんどんし始めているので、最終的に小売業界はリアル店舗・EC問わずコモデティ化しますね。
カテゴリー関係なく、「どこに行っても同じようなものが買える」状態になると思います。
客側の利便性は上がりますが、薬剤師のいる場所としてはどうなのかな?と考えてしまいます。
世間のドラッグストア(OTC専門)に対する認識はこんなもんです。
薬剤師を生かしつつドラッグストア的に働く
薬剤師としての職能を生かしつつ、ドラッグストア的に働いてセルフメディケーションへ貢献していくには2つの方法が考えられます。
ここでいうセルフメディケーションには、単に軽度の疾病を自分で治すという意味だけでなく、薬剤師が誰かの健康リテラシーを上げるという意味も含みます。
1つめは、「OTCに力を入れまくっている調剤薬局」で働く。
【処方せんがなくても気軽に入れる“相談薬局”を実現~今、身近な存在としての薬剤師を見てください~】
ウィン調剤薬局の例ですが、調剤薬局というよりは相談薬局ですね。
OTCのカウンセリング販売から調剤まで一元的に管理できるので、セルフメディケーションへの貢献度はかなり高いです。
2つめは、「零売薬局」で働く。
零売とは、処方箋がなくても販売できる医療用医薬品の販売のことです。
処方箋によらず、薬剤師の職能で行えるので、「調剤での服薬指導」と「ドラッグストアでのカウンセリング販売」の良いとこどりをした、職能発揮レベルの高い働き方ができると思います。
【零売薬局とは】調剤薬局とドラッグストアの良いとこ取り?薬剤師の新しい働き方
薬剤師の働く場所に正解はない
上記で薬剤師としての職能を生かしつつ・・・とかちょっと偉そうに話しましたが、結局のところ薬剤師の働き方に正解なんてないんですよね。
薬剤師として(極論いうと薬剤師関係なく一個人として)何がしたいのか、そしてその自分に一番合った場所を見つけるのが何より大切です。
ドラッグストア(OTC専任)の薬剤師でも化粧品を極めてガンガン売ったり、食品から日曜雑貨まで生活に関わるあらゆる物に精通したり、店舗運営を勉強しまくって数字をガンガン上げたり、本社に行ってPB作ったり、採用したり、色んな薬剤師がいます。
車の免許を取ってもみんながみんな車で配達の仕事をするわけではないし、でも車を作る会社の人たちは大半が自動車免許を持っていると思います。
その理由は免許があった方が作った車を試せるし、プライベートで車に乗った”経験”も仕事に活かせるから。(今の世の中車の免許が身分証代わりになっているっていうのは一旦置いといて)
薬剤師も同じ考え方でいいんじゃないんですかね。(もちろん車の免許ほど簡単に取れるものではないですし、人の命を預かる以上”薬剤師”というものに誇りと責任はちゃんと持ち合わせています。)
薬剤師免許を使うってよりは、免許をとることで薬剤師にしかできない”経験”を手に入れて、その”経験”を活かして拡げて繋げて新しいことをやってけば自ずと自分にぴったりの居場所は見つかっていくのかなと。
薬剤師にしばられすぎず、柔軟なマインドに変えていくことも必要ですね。
ではまた!
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